役目を終えたプラスチックが、世界にひとつだけの輝きへと生まれ変わる場所。
ここ「就労継続支援B型事業所 ニポポ」では、さまざまな人の想いや手仕事が重なり合い、サステナブルジュエリー「PLA-LETTE(プラレット)」がつくられています。
この場所には、福祉という枠を越えて、誰もがその人らしくかかわれるヒントがたくさん詰まっていました。
札幌にある「就労継続支援B型事業所 ニポポ」。
ここでは、いわゆる“福祉畑”の経験が豊富なスタッフの他に幅広い経歴のスタッフが一緒に働いています。
メンバーさん(利用者さん)それぞれが持つ多様な経験や視点を活かしながら、ニポポらしいあり方を模索し、自由なチャレンジが生まれる場となっています。
誰かが正解を決めるのではなく、みんなでつくる「ニポポらしさ」。
その空気が、この場所をやわらかく、しなやかにしていました。
入り口を入るとまず目に飛び込んでくるのは、カラフルに並べられたアクセサリーたち。
まるでセレクトショップのようなおしゃれな空間に、少し驚かされます。
でも、これはすべて、廃プラスチックをアップサイクルして手作りされたジュエリー。
「PLA-LETTE(プラレット)」と名づけられたそのアクセサリーは、役割を終えたプラスチックが、まったく新しい命を宿した姿です。
きっかけは、あるメンバーさんが海洋プラスチック削減のボランティア活動に参加したことでした。
「あれ、私たちの身の回りにも、たくさんのプラスチックがあるんじゃない?」という気づきが、次々に人を巻き込み、
ニポポでのPLA-LETTE(プラレット)制作活動が始まりました。
材料となるのは、ペットボトルのキャップやガチャガチャのカプセルなど、ありとあらゆる廃プラスチック、普段は捨てられてしまうものばかりです。
キャンディのようなカラフルなかけらは、思わず手に取りたくなるほど魅力的で、私たちがどれほど多くのプラスチックに囲まれて暮らしているかを改めて感じさせてくれます。
制作はすべて手作業。プラスチックを細かく切る人、色を選ぶ人、形にする人、レジンでコーティングする人。
それぞれの工程が、まるでリレーのようにバトンをつなぎながら、一つの作品が完成していきます。
どの工程が欠けても、PLA-LETTE(プラレット)はできあがりません。
ここにあるのは、ものづくりの喜びだけではなく、協働のまなざしです。
「実は、集まってくるペットボトルキャップの色は季節によっても変わるんです。
冬はホットドリンクが増えるから、オレンジ色のキャップが増えるんですよ。」
ニポポのデザイナー・鈴木さんは「素材にも季節のうつろいを感じたりします。」とにこやかに話します。
そんな小さな変化を見逃さず、それを作品にそっと落とし込む。その色たちはまた、季節をめぐって循環していく。
そんなやさしい循環が、PLA-LETTE(プラレット)の魅力として、ひとつひとつ宿っているように感じました。
人気なのはブルー系のデザイン。
どうすれば、ひとりでも多くの人にこの想いやアクセサリーを届けられるか。
メンバーさんたちは真剣に考え、手を動かし続けていました。
その姿はとてもまっすぐで、力強く、見ているこちらの背筋も自然と伸びていきます。
ニポポの活動は、「もったいない」を「素敵」に変えるだけではありません。
それは、環境への配慮と共に、誰かが取りこぼされずに輝ける社会への一歩でもあります。
SDGsの12番「つくる責任・つかう責任」や、10番「人や国の不平等をなくそう」、
さらには17番「パートナーシップで目標を達成しよう」にもつながるこの取り組み。
きらきらとしたアクセサリーの奥に込められた想いに触れたとき、
私たちはただ「買う」だけではなく、「選ぶ」ことで社会を少しずつ変えていけるのだと気づかされます。
二ポポの目指すのは、「すべての人が自分の色で、自由に輝ける社会」。
その一歩一歩が、色とりどりのPLA-LETTE(プラレット)に表れているように感じました。
世界にひとつの輝きを、是非みなさまにお届けできますように!
■前回のストーリー